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幼い恋ごころ

女の子から言い寄られたのに気が付かなかった話。

 

中三の時、全員が高校受験で頭が一杯と思いきや、

そのころは高校に進学しないで就職する生徒が

特に女子にはいたのでした。

 

あるとき中学の入口にある下駄箱の上履き用運動靴の

上に角封筒がおいてありました。

 

中には手紙が入っていましたが、「好き」などとは

書いてなくて、ただ手紙の交換をしたいという内容

だったと思います。

 

次からは、教室の机のふたを開けると封筒が入って

いました。返事は彼女の机の中に入れておきました。

 

文章はまったく覚えていないのですが、一度だけ

「窓から飛び出せ、お嬢さん」と、なんとも気障な

歌の歌詞みたいなことを書いたことだけは、気恥ず

かしくて、今でも覚えています。

 

一度、色鉛筆のセットを入れておいてくれて、感激

したことがありました。貧乏な時代だから、驚きも

しました。 こちらからは、何もお返しが出来なか

ったのが恥かしかった。

 

高校に進学して彼女とのやりとりは途絶えていましたが、

あるとき、突然彼女の新居に遊びに来てくれとの手紙が

来ました。訪ねてみると、彼女は庭に面した縁側のある

和室で出迎えて赤ちゃんを抱っこしてニコニコしている

ではありませんか。 またも、彼女には驚かされました。

「大工さんと結婚したの」と言ってましたが、中学を出て

直ぐ結婚したことになります。

 

「良かったね。 おめでとう。」とだけ言って、逃げるように

帰って来ました。 何故、何故赤ん坊を見せたかったのか、

訳が分かりませんでした。

 

彼女の気持ちは今でも分かりません。 推測するに、彼女は

「恋」だったのに、応えて貰えなかった。他の男に惚れられて

子供も授かり、それを見せつけて溜飲を下げたのだろうか。

 

どなたか彼女の心理が分る人はいませんか?