咲かない蕾(つぼみ)前編
折角、縁あって近付いて来てくれたのに、結ばれなかった女性たち。
蕾(つぼみ)のまま開花しなかった花たちとの交流。
大学3~4年という短い期間に起きた、青春時代のこぼれ話を集めて
みました。
文通で知り合った女性たち
大学に合格するまでは受験という壁があって、女性との交際が全く
無かった。
だから、大学に入学すると、直ぐに雑誌で見つけた、地方の文通希望の
女性と手紙の交換を始めた。 そのうちで、直接会うことになった女性
たちとのお話し。
(第一話)関西方面から東京の短大に入学した女性
手紙で打ち合わせ、JR中央線のある駅の近くの彼女のバイト先で
会って、立ち話をした。 遊び相手には向かない気がして、それ以上の
進展は無かった。
(第二話)東北地方の漁港のある町の図書館司書
夏休みに旅行をしたいと連絡したら、地元のお寺にただで泊めて貰えるから、
遊びに来ませんかと云われ、喜んでその話にのった。 お寺のご家族みんなで、
まるで親戚のように暖かくもてなしてくれた。 お子さん達と毎日リアス式海岸
を見てまわり、すっかり仲良くなった。
文通相手の女性も毎日仕事の後、お寺に来て食事の後片付けをしたり、奥さんと
話をしたり、良く出来た女性だった。
然し、遠距離であり、彼女との文通は途絶えた。 大分経ってから、東京に
出て来たと便りがあったが、こちらは既に結婚しており、返事をしなかった。
他方、お寺のご家族とはお子さん達が東京の大学に進学したこともあり、
長い間年賀状を交換した。
お世話になった図書館司書の彼女との文通を続けなかったことは、今になると
恩知らずな自分に腹が立ち、後悔の念を禁じえない。